ファンクションポイントについて記述された本は他にも[1]があるが、本書はより入門的で、わかりやすくまとまっている。機能の計測にDeMarcoのDFD、データモデルの計測にUMLのクラス図を使うなどの実践に基づいた工夫がされている。
このことは、真剣にソフトウェアに取り組んでいる読者にとっては、新たな記法を理解するための時間を省くことができるので好感が持てる。具体的な実例や演習問題が少ないので、本書をひととおり読むだけでは実務に適用はできないだろう。実践を目指すなら、さらにJFPUG(http://www.jfpug.gr.jp)などの主催するセミナーを受講するのが良いのだろう。また、一方的にファンクションポイント法を礼賛するだけではなく、いくつかの問題点についても検証した上で、現状での最善として紹介しているのも納得である。
しかし、実際に本書の説明をもとに見積を行おうとすると、大事な計算式が省略されていたりして、頓挫してしまう。せめて演習問題の解答は結果だけでなく、数字の根拠を示して欲しい。
[1] 『ソフトウェア機能性の計測ファンクションポイント技法の実践的入門』、デビッド・ガームス、トッパン、ISBN 4-8101-9004-8